当ブログでは毎回、ローマ帝国の歴代皇帝の略歴をまとめていきたいと思います。詳細については記載できませんが、簡単に経歴、各称号、功績について書いていきます。
第1回目はアウグストゥス帝からです。
アウグストゥス帝(在位:前27年〜後14年)
主な称号
コンスル13回、インペラトール21回、護民官特権41回、国父(パーテルパトリアエ)
略歴
前63年ローマに生まれ、名はガイウス・オクタヴィウスとつけられました。その後カエサルの遺言によりカエサルの養子となり、名をガイウス・ユリウス・カエサル・オクタヴィアヌスと改めます。第二次三頭政治により権力を得たオクタヴィアヌスは前42年ブルートゥス、カッシウスらカエサルの暗殺者達を下します。その後反ローマ的な態度を取ったアントニヌス、クレオパトラとの争いが起こりますが、前31年アクティウムの海戦で勝利を掴みます。
絶対的な権力と軍事力を得たオクタヴィアヌスは前27年、国政を元老院に返すとする共和政復帰宣言を行ないます。しかし元老院はオクタヴィアヌスに再度権限を与えるという形で、インペラトール(ローマ軍最高司令官)、プリンチェップス(第一人者)の称号の常時使用、エジプト、ガリア、ヒスパニア、シリアの統治権など各種権限はオクタヴィアヌスのものとなります。
また新たに元老院からアウグストゥス(尊厳なる者)という称号を得ることになり、この称号が歴代皇帝に用いられるようになりました。
これにより共和政の復古を建前とする元首政(Principatus)が成立することになります。当初前24年まで執政官を歴任していましたが、執政官を辞すかわりに護民官特権(トリブニチアポテスタス)を得ます。これにより拒否権(ヴェトー)、元老院の召集、民会への法案提起、身体不可侵の権利を持つようになり、皇帝としての特権のすべてが揃ったことになりました。
アウグストゥス帝はカエサルの遺志を受け継ぎ、ローマ帝国の基盤を確固としたものに作り上げることに成功します。内政面では元老院の再編成、内閣(コンシリウム)の創設、税制の改革、常備軍の創設などを実行します。
また各属州は再編成され、元老院属州、皇帝属州、皇帝私領エジプトに分けられました。国境も定かなものとなり、国境近くには常駐のローマ軍が置かれ安全保障のシステムが作られました。
またアウグストゥスは通貨改革を実施し、1アウレウス金貨=25デナリウス銀貨=100セステルティウス銅貨の交換比を固定します。これによりデナリウス銀貨を基軸通貨とする通貨制度が確立し、帝国の経済発展の基礎となりました。
41年の長い期間に渡って安定して統治を行なったアウグストゥス帝は血縁の後継者に恵まれず、夫人のリヴァアの連れ子のティベリウスに帝位を委譲し、75歳の生涯を終えています。
カエサルが描いた青写真をアウグストゥスが実行し、また40年以上という長い治世により、後戻りしない「帝政」という新政体を作り上げたのでした。そしてローマ帝国はその後400年以上続くことになります。